袖ケ浦な人々

【袖ケ浦な人々】病院のインフルエンザ/忘れる

病院のインフルエンザ

体調を崩して病院に行った。

頭の芯が痛いし、微熱もありそうで悪寒がする。ただの風邪ならいいのだが、流行しているインフルエンザだとちょっと困る。

過去に二度ばかりインフルエンザをやったが、二回とも同じような症状を経験した。

先ずは普通の風邪と思うような不調があって、その晩に一気に発熱した。39度を超えて、やっとの思いで病院に行き診察してもらった。そしてインフルエンザだと診察された。当時はタミフルと言う薬が主流で、それを飲むと二日くらいで辛い症状は改善された。普通の風邪より案外と快癒は早いと思った。

しかし今回は困る、その二日が困るのである。明後日に私は人の前で話をする大事なスケジュールがあるのだ。体調が悪いと言っても代人はいない。人は集まってくるし、主催者に迷惑はかけられない。

普通の風邪なら多少話が聞きにくくとも何とかお役目は果たせる。しかし高熱を押しては出来ない。途中で倒れるかもしれない。

まして集まった人たちにうつしてしまう。

医師の診立てが、どうか普通の風邪でありますようにと祈るような気持ちで、受診した。

医師はのどの奥の粘膜を麺棒でなぞって検査し、再び呼ばれて検査結果を聞くと、「陰性」。インフルエンザではない、よかった、よかった。

感冒の薬を処方するそうだ、明後日の予定は変更せずに済む。

やれやれ、ほっとして病院のロビーの長椅子で、その会計を待っているとき、小学校一年生くらいの女児とその母親が隣に座った。

そして、大きな声でしゃべり出した。

女児「私、インフルエンザなの?学校お休みなの?」
母親「そうよ、インフルエンザだからおとなしくしていないといけませんよ。お医者様が言ってたでしょ。」

私は長椅子をそっと立って、玄関の近くの、少しでも外気の入ってくるところに写った。そして会計に呼ばれて母娘のいるロビーを横切るとき、息を止めて往復した。

私は言いたい、私は「普通の風邪」をひいてこの病院に来たのだ。

 

忘れる

調子に乗って食べ過ぎるとすぐに太る。

歳のせいだと思う。だから時々体重計に乗っては放埓な生活を反省している。

そこで最近は一日に何を食べたか日誌の片隅に記録を始めた。レコーディングダイエットと言うやつである。

しかし食べた物を記録しただけで痩せるとも思えない。記録は日々の節制を啓発しようと言うのだとわきまえて続けている。

先日寝しなに、それを日誌に書こうとすると、その直前に食べた夕食の一部が思い出せない。ご飯をおいしく頂いたのは覚えているが、何のおかずでそれを食べたのか忘れている。

どうしても思い出せない。食卓の景色とか、お皿の配置とか、その時の匂いとかを総動員して思い出そうとするが思い出せない。

翌朝、それを妻に聞くことになった。妻は「昨夜はネギトロ丼でした」とあきれ顔で言う。私も相当ショックである、言われればネギトロ丼にわさびを効かせておいしく食べたのを詳細に思い出す。

私は「駄目だな、歳かな」と気弱に言うと、妻は「大丈夫ですよ。何を食べたか忘れたって、大したことはありません。それより食べたかどうか忘れたら、ちょっと大変だけどね」と言いながら笑った。

私は「じゃあ、また忘れたら聞くね」と言って窓の外を見ると春の朝雲がぽかんと浮かんでいた。

山田 悟

山田 悟

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山田能力開発研究所。雨漏り・防水・屋根と壁の補修・改修や鳥害対策の「山田技研」の代表。袖ケ浦市にて地元自治会の会長を務めながら、街を元気にする地域活動を行なっています。

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