Sodegaura Column

毎月新聞2015年11月号

袖ケ浦在住の経営者が毎月発行している、社会の隙間にピリリとした味わい深いコラムが毎号楽しみな「毎月新聞」。Apps Journalでは、定期的に全文掲載させていただきます!(管理人より)

犬三題

中国の雲南省の村人、王開育さんが二年前、ベトナム人が2匹の黒い仔犬を売りに来たので、彼はそれを番犬の為に買った。2匹の「番犬」はとてもお利口で、なんでもよく食べて、どんどん大きくなって、鶏を捕まえて食べる程になった。何か普通の犬とはちょっと違うと感じた王さんは、森林保安局の公告と見比べて、この2匹の犬は実はツキノワグマ(国家二級保護動物)だと知って驚いた。王さんは犬ならぬツキノワグマを当局に引き渡すことにした。

と言うニュースをテレビで見た。私はさもありなんと思った。動物の赤ん坊は可愛い。仔犬も熊の仔もしぐさは同じで何とも愛らしいものだ。犬と間違っても不思議ではない気がする。滑稽なのは、熊は雑食性だから何でも食べる。鶏だって襲う。行動力も犬の比ではない。何せ木にも登るし、驚くほど大きくなって、牙も爪もグレートになる。その変化を王さんは「アワアワ」と眺めていたに違いない。

しかし一緒にこのニュースを観ていた妻は「そんなはずはない、この人、最初から熊だと知っていて飼ったのよ」と言う。それを保安局に見つかり、犬と思っていたと言い訳を言ったのだと。自信に満ち溢れて言い放つ妻を見ながら私も「アワアワ」とその変貌を眺めて来た者として「この人もかつては仔犬の様だった…」と振り返るのである。

§

いずれも軽傷だと言うので話題にさせていただく。松戸市で若い女性と飼い主の男性が犬(紀州犬)にかまれて怪我をした。110番通報を受けて警察官が二人駆けつけ、捕まえようとしたが、襲い掛かってきたため拳銃を発砲した。2人で13発撃ち、やっと犬は倒れたと言う。

PR

警察は拳銃の使用が適切だったと説明をする際、「向かって来る犬に制止を試みたが従わず、仕方なく発砲した」と発表した。犬にどうやって制止を求めたのだろう。拳銃を使うまでのいくつかのルールがあるに違いない。

まあ、それはさておき結局撃ち殺したのは、警察官が余程「怖かった」からに違いない。犬の方も拳銃を敵に回すことになろうとは思わなかったろう。「俺たちに明日はない」並みの壮絶な銃撃を受けて果てたこの犬、オスならクライド、雌ならボニーのようにハードボイルド気分で最期を遂げたに違いない。国家権力の前には犬もギャングも庶民も無力であると教えている。この犬、あながち犬死ではなった気がする

§

徳島市で、盲導犬と一緒に通勤途中だったマッサージ師で視覚障害者のYさん(50)が前方からバックしてきた2トントラックにはねられた。Yさんは胸などを強く打って約1時間後、亡くなった。一緒にいた盲導犬も巻き添えになり死んだ。悲しいニュースだ。

トラックはバックを知らせる警報が故障していたそうだから、Yさんには予知の出来ないことだったろう。一方、盲導犬は近づいてくる車を見ているはずだ。Yさんを何とか逃がそうと懸命に働いたのだろう。そして最後までYさんをかばって、共に亡くなっている

盲導犬と主人はハーネスの取っ手を握っているだけで繋がっているから、盲導犬が振りほどいて逃げようとすれば容易いことだろうに。犬である以上に盲導犬の使命を貫き、文字通り身を挺して主人を守ったのだ。「献身」と言う字の犬の凄みが迫ってくる。

天声珍語

歌手の矢沢永吉さんが自分の若いころを振り返るドキュメンタリーを観た。

自身「なんで若い頃はあんなに吠えていたんだろう。きっと何もかもが怖かったんだろうね」と言うコメントが印象的だった。

この毎月新聞もお陰様で50回号を発刊することになる。そこで、好きな犬のことでまとめさせていただいた。思えば私も何か落ち着かないので「吠える」代わりにこれを書いている気がする。

これからも駄犬の無駄吠えにお付き合い頂けると嬉しい限りです。ワンワン。

アバター画像

山田 悟

投稿者の記事一覧

山田能力開発研究所。雨漏り・防水・屋根と壁の補修・改修や鳥害対策の「山田技研」の代表。袖ケ浦市にて地元自治会の会長を務めながら、街を元気にする地域活動を行なっています。

関連記事

  1. 【袖ケ浦な人々】猿が出没
  2. 【袖ケ浦な人々】開けたドアは自分でしめないと閉じない
  3. 毎月新聞2015年12月号
  4. 【袖ケ浦な人々】分別
  5. 【袖ケ浦な人々】電話二題
  6. 【袖ケ浦な人々】病院のインフルエンザ/忘れる
  7. 【袖ケ浦な人々】マイナンバーと老人/マサイ族とスマホ
  8. 【袖ケ浦な人々】神様は上げるが好き…?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

↓下のギャラリーは、全て房総で撮影されています。Apps Journalでは、房総の魅力を発掘・発表する撮影会や写真展の開催もサポートしています。お気軽にお問い合わせください!

内房出身プロカメラマンによるオンライン講座
 

房総楽友協会リモート楽団2021年2月
 

房総楽友協会リモート合奏団「ベートーヴェン第九」
 

房総楽友協会リモート合唱団「上を向いて歩こう」
 
BOSO BAYSIDE AREA CONCEPT MAP

イベント告知のご相談はお気軽に!

Amazing BOSO Part1 (Original Sound)
 

Amazing BOSO Part2 (Original Sound)
 

Amazing KIMITSU Part1 (Original Sound)
 

Amazing KIMITSU Part2 (Original Sound)
 

BOSO PHOTO EXHIBITION 2017
 

BOSO PHOTO EXHIBITION 2016 Part1
 

BOSO PHOTO EXHIBITION 2016 Part2






PAGE TOP