たくさんあったお祭りやイベントが、年々、縮小気味になっていることを懸念している地域は少なくありません。
ところが、茂原市の地元自治会が企画する「茂原秋まつり合同神輿渡御(とぎょ)」には、隠れた熱狂的ファンが多いと言われています。その理由と、茂原市のポテンシャルについて、高師自治会会長の初谷幸一さんにお話を伺いました。
地元若者同士が競争しあった効果
かつて、茂原駅を中心にして北側に位置する高師の若者たちと南側に位置する茂原地区の若者たちが、地元の伝統を残すための素晴らしい競争意識が生じたという経緯があるそうです。
初谷さんは説明します。
地元盛り上げ合戦という意識が、茂原八幡神社と高師八幡神社の神輿競争に発展し、2つの神社の「もみ合い」が恒例行事となりました。
同じ場所に2つの神輿が同時に登場し、互いの勢いが、いわば「ぶつかり合う」かのようなところから、次第に融合していくという、他の地域ではなかなか無い流れがあり、これが話題性を呼んで、祭り自体がどんどん拡大してきました。
「茂原市の恒例行事になったこの祭りは、昨年からは他の地区の参加も増え、ますます活性化しています。現在では、老若男女を問わず、各自治体がこのイベントを盛り上げてくれています。
お祭り好きの担ぎ手が関東各地からも参加
こうしたお祭りや神輿が大好きという方は全国にいらっしゃいますが、茂原の合同神輿渡御には、実に関東各地の広い地域から若い人たちが神輿の担ぎ手として参加しているそうです。
若い方たちにとっては思い出づくりや出会いの場となるだけでなく、日本の伝統文化・行事の良さに触れてそれを後代に伝えていかなければならないという意識が高まっていることに本当に驚いています。
「単に上から『伝統を伝えていけ』と言うよりも、伝統行事の素晴らしさを実際に体験してもらい、自主的に『これを盛り上げていこう』『これを伝えていこう』という意識になる方が、若者たちが地域活性化に対して積極的になるということが分かります。
これには本当に学ばされました。
もともと有名な七夕祭りとの関係
盛り上がりの一つのカギは、『茂原と言えば七夕』と言われるほど盛大な七夕まつり。2014年は88万人が参加したとのこと。
興味深い住民の意識について、初谷さんが教えてくれました。
七夕祭りを盛り上げているのは商工会、商店街などの企業。これに呼応するようにして、地元市民たちが立ち上がって盛り上げているのは『神輿渡御』。
「つまり、七夕祭りが『見学型』とすれば、神輿渡御は『参加型』なんです。このバランスが、『2大イベント』という住民の意識につながり、じわじわと活性化してきました。
この流れは今後しばらく変わることはないでしょう。これからも茂原市は盛り上がりますよ。
地域活性化の取り組みに悩む行政や自治会は全国に少なくありませんが、複数地域の「ぶつかり合い」が地元行事を拡大させていくというのは大きなヒントになりますね。
2014年の茂原市七夕まつりは例年以上に盛り上がったとのこと。これからの茂原市は熱い!
茂原秋まつり[まるごとe!ちば]