和(やわ)らぎ水と言う日本酒の上手な飲み方をご存知ですか。酒を飲むとき、時々飲む水のことで、深酔いしない、お酒やお料理が美味しくなる、その場の雰囲気が和らぐと言う効果があるのだとか。
お酒を飲む機会に「まずはビール」というのが定番になっている感がありますが、ビールは喉越しを楽しむもの、日本酒は料理と一緒に楽しむもの、と「役割」が違うのかもしれません。
今回見学した、富津市竹岡に所在する「和蔵酒造 竹岡蔵」の主力銘柄「聖泉」も、そんな地元の日本酒の一つです。
<明治7年(1874年)創業、「聖泉(池田酒店)」という酒名は、上総掘りの深井戸から泉のごとく湧き出した清水で仕込まれたことから、その名がつけられました。蔵元は、東京湾の直ぐ目の前にあり、内房の海の幸を肴に清酒聖泉は育てられてきました。>
ー千葉県酒類販売株式会社ウェブサイトより。
こんこんと湧き出る清涼な水から、清酒「聖泉」は生まれるのですね。
なんとこの酒蔵では精米所も完備しており、お米を磨くことから清酒造りを始めています。精米所を持つ酒蔵はそうそうないということです。
手前が酒米の玄米、白いほうが大吟醸のための磨きに磨かれたお米。あまり磨き過ぎると割れてしまうそうで、ここにもそれを見極める職人の経験が生きています。
巨大な容器で酒米を蒸します。下に大きな釜があり、上の「聖泉」と書かれた容器には布にくるまれた酒米が幾重にも重ねられて蒸し上げられています。
熱々の酒米がネットに載せられた状態で釜から引き揚げられていきます。
池田社長自ら、お米の蒸しあがりを確認、今日も上出来の様子です。天候や気温、お米の状態によって水の量や蒸し加減を調整しているのだそうです。
酒米は布にくるまれて酒母を作る部屋へ急いで運ばれていきます。ほとんどが手作業です。
酒米が運ばれて行った先には杜氏が待っており、そのタンクの中へ酒米を投入します。
蒸された酒米と酵母、水ときめ細やかな温度管理。日本酒には複雑な工程が関係しています。
「大吟醸」の製造現場は、鍵のついた分厚い厳重な扉で守らています。開けただけでなんともいい香りが漂ってきます。
杜氏によって大事に育てられている「大吟醸」。その香りはまさにフルーツです。芳醇な香り。
観察してみると、音や動きがあることがわかります。お酒は生きています。やがて時期が来たら、このタンクから絞られ、新酒として世に出ます。
ここは杜氏の部屋。同じ味を出すための様々な管理や、新しい味を作り出すための様々な実験などがここで行なわれるようです。
昔ながらの方法で、ほぼすべてが手作業による日本酒の製造。それはまさに神業。伝統を受け継ぎ、生み出される「聖泉」と言う名の美味な酒。日本酒らしい品位を保ちつつ、楽しみたいですね。
インターネットで「日本酒を楽しむ」と検索してみると、日本全国にお酒をこよなく愛するサークルやイベントが多数ヒットし、好きな日本酒を持ち寄って行われるパーティーもあるそうです。日本酒は日本の食文化とも密接な関係にあるようですね。
こうした見学は、和蔵酒造では一般の方を含めいつでも受け付けてくださるそうです。お酒が好きな方も飲めない方も、かなり感動しますよ。
房総の地酒 上総の蔵元 – 和蔵酒造 竹岡蔵[千葉県酒造組合]
この記事へのコメントはありません。