茂原市に拠点のあるデイサービスセンターまこと。ここにはなぜか「札所」があるのだとか…。
なにやらこのデイサービスセンターには秘密ならぬ秘訣があるようです。そこで早速、お訪ねしてみました。
案内してくださったのは職員の方ではなく、利用者のお一人である吉永さん。なんとこの施設では利用者が来訪者をご案内することになっているのだそうです。
代表の阿部智喜さんは「高齢者同士が介護をしあうことは良いことなんです」と言います。この言葉には一瞬戸惑いましたが、とても興味を惹かれました。
巷では高齢者が高齢者を介護することは老々介護と呼ばれ、あまりいいイメージがないようなのですが、案内者の吉永さんが「すごく楽しい」という言葉を連発していたので、なんだかイメージが変わり始めました。
この施設では、利用者がその日のスケジュールやメニューを自分で決めることになっています。例えば足腰を楽しんで鍛えるための施設内巡礼というメニューがあり、10箇所を巡るようになっています。冒頭で述べた「札所」があったのはそういう事だったんですね。
温泉、入浴、カラオケ、ボーリング、ピアノ、パン作り、マッサージ、リハビリ体操、習字、ダーツ、麻雀、将棋など様々なメニューが揃っています。
マッサージもとても気持ちよさそうですね。利用者も職員もすごく楽しそうなのが印象的でした。
「以前は利用者になんでもしてあげようと思っていたけど、それは間違いだった。できることはさせて、個人の能力を上げていくと、皆さん生き生きします」と阿部さんは語ります。実際、職員の方が何でもやってあげてしまうと、人としての機能が落ちてしまうようです。
ノリがいいお茶目な職員さん。高齢者同士の介護であるとは言え、強要されているのではなく、利用者が自発的に自分より状態が良くない方の面倒をみてくださるそうです。
この施設は自らの意志で動くことを尊重しているので、そういった行為は一切咎めません。もちろん、事故が起きないよう職員の方がしっかりフォローしています。また、要介護認定を受けていない地元の高齢者もボランティアとしてしょっちゅう遊びに来て利用者のお相手をしてくださるとのこと。
利用者、ボランティアに共通する動機は「楽しいから」と「人の役に立ちたいから」。阿部さんは介護になる前のケアを重要視しており、こういったボランティアの方が毎日ここに遊びに来て、介護要らずでいつまでも元気でいてほしいと考えています。
経営的には要介護認定の人が増えればいいと考える施設もあるかもしれませんが、ここは全くそうではないのですね。右側の方が阿部さんです。自分も介護のお世話になるのはまだ先ですが、毎日通っちゃいたくなるような、気になる存在になりました。