「ロックンロールが大好き」という方もいれば、「騒がしくてイヤだ」という方も。
しかし、木更津市在住のジェイソン國分さんの20年の軌跡が示すのは、どんな人でも参加できるバリアフリーな魂の叫びでした。
35年目を迎えるオリジナルバンドHIRYU
國分さんは、横浜市の中学校で国語を教える現役の教師として忙しく働きながら、オリジナルバンド「HIRYU」で歌い続け、今年で35周年を迎えるのだとか。
近代文学をモチーフにして歌詞をつけた「近代文学シリーズ」という楽曲をクリエイトするなど、さすが国語教師らしいユニークな面もあります。
それにしても、結婚し、子供も生まれた中で本格的なバンド活動を継続できた秘訣は何だったのでしょうか。
子供と一緒にステージに。活動を共有した
國分さんは語ります。
結婚して子供が生まれると、バンド活動をやめるようにと奥さんに言われる方がたくさんいる。だけど、そうじゃない、と考えました。
子供と共にステージに上がり、子供と一緒にロックを歌い、朝から晩まですべての活動を一緒に行なうんです。中には「家族を使うな」「ロックな場に家族を連れてくるな」という厳しい声を上げる方もいらっしゃいましたが、子供はとても喜んでました。
数年もたたないうちに、家族が一つになって何かに打ち込めるということがあることがいいことなんだ、ということが理解され、子供が大きくなるにつれて受け入れられるようになっただけでなく、家族ぐるみでロックンロールを楽しむことが当たり前のようになってきて、うれしいですね。
富津岬にある「ジャンボプール」に併設されている野外音楽堂は、家族連れには最高のロケーション。野外音楽堂でライブの準備をしている間は子供たちはプールで遊び、夜には家族そろって野外ライブを楽しむということが出来たそうです。
昼間は大きなプールで遊んで、夜はライブのステージに立つ。こんな他ではできない思い出と新しい価値観を生み出した、センセーショナルなパパだったんですね。
七五三の写真も、ギターを抱えてクールに決めています。
障がい者施設で出会った、魂が鳴りやまない人々
教育の仕事をしていると、子供たちがボランティア活動に参加するのを見守る機会がありますが、「自分が現場を知らなければ何も言えない」と考えて、単身で介護施設を訪問したそうです。
そこで出会った一人の入居者の一人が、すごくロックが好きということでした。でも、ステージに上がる機会がないだけでなく、音楽を楽しむこともままならないという状況。これではいけない、と思いました。
どんな人でもロック魂を持っている。ハンディキャップがあるからという理由でロックを楽しめないということはおかしい。そう思って、一緒にロックンロールを楽しめる取り組みを始めました。
高校から特別支援学校に異動した経緯もあり、「障がい者のど自慢」を企画して障害を抱える若い方たちも自由に参加できるステージを作りました。
今では野外音楽堂で定期的に開催されるライブに、彼らもステージに上がって熱唱します。
今後に掛ける魂の叫び
これまでの活動を基に、今後、目指すものはどんなゴールでしょうか。
真面目にやっているアマチュアバンドの最高峰を作りたいと考えています。
ロックを追求するという精神は、単に音楽を楽しむというだけでなく、自分や家族と共に向かい合い、そして様々なハンディキャップを乗り越えるという点でも「魂を掛けている」ことなんだと。
だからこそ、メジャーなレベルを持つ実力のある、本気のバンドが生まれれば最高ですね。
バリアフリーな取り組みで出会う様々なミュージシャンたちがメジャーな存在になっていく。日本のアーティストは、これほど熱い想いを抱いて活動を続けています。
ジェイソン國分さんのステージは、8月23日(土)に富津市の野外音楽堂にて、ご自身がプロデュースされている「富津のいちばん熱い日 Vol.20」でも堪能できます!