Landscape

美しい山と季節と景色は、ロープウェーで楽しもう

高いところからの眺めを楽しみたい観光客を支えてくれる乗り物。山の風景を見下ろしながら楽々と登山させてくれる乗り物。

旅行先で「あ、ここにも」と見かけることの多い(ような気がする)乗り物。そう、それはまさしくロープウェー。

参考:「ロープウエー」?「ロープウェー」?「ロープウエイ」?「ロープウェイ」?

日本には80以上もの観光用ロープウェーがあるらしいのですが、そんなロープウェーの「Apps Journal的楽しみポイント」を独断と偏見にてご紹介いたします。

参考:[めざせ!日本のロープウェイ完全乗車…日本のロープウェイ一覧|水平線の先にある夢

 

観光用途になったのはいつ?

現在では一般的に山登りや観光といイメージが強いですが、そもそもは、人力で山上に荷物を運んでいたものを明治3年(1870年)に機械化して動くようにしたのが始まりだそうです。当時は建設用の資材などを運ぶ用途で使われていたようですね。

山々の開発が進み、建物や施設が潤ってくるにつれて観光業が盛んになって行き、明治3年から42年後の明治45年(1912年)にやっと私たちの知る形へと変化したようです。

日本で一番最初に作られた興業施設としてのロープウェーは大阪の新世界ルナパークと通天閣を結ぶものだそうです。100年以上の歴史があると思うとは感慨深い。

参考:レファレンス協同データベース

 

標高と景色

登るのは非常に困難な標高を気軽に楽しむことができるとしたら、こんな素敵な経験はありません。

ロープウェーはまさにそんな「楽々登山」を実現してくれる乗り物。見渡す限りの山々、その標高と景色を楽しめるというのが何よりも楽しい。

例えば、標高2000メートル、北アルプスの美しい山々を眺めることができる「新穂高ロープウェイ」は、人生で一度は乗りたいロープウェーナンバーワンです。

 

勾配と街並み

登るときはまぁいいんです。上(前)を向いていますから。問題は下山時ですよね、下に向かってスゥ〜〜って降りてく。

このとき、急勾配であればあるほどスリル満点、まるで遊園地のアトラクションかと突っ込みたくなるようなロープウェーもあります。季節ごとに、例えば秋など紅葉している山を眺められるというのも魅力。広島の「宮島ロープウェー」など、最急勾配がなんと26度以上!

とはいうものの、市街地を見下ろすような場所にあるロープウェーは、山の景色と街並みの両方を楽しめるという点で一線を画しています。

例えば、北海道の「函館山ロープウェー(最急勾配28度!)」や「札幌もいわ山ロープウェイ」、「神戸布引ハーブ園/ロープウェイ」などは、夜景が最高に楽しめそう。

勾配と街並みの組み合わせロープウェーは是非ともオススメしたいポイントです。

 

長くゆったり

日本で一番長いと称されるロープウェーというのも注目ですね。

中でも「箱根ロープウェイ」は、4駅の間をそれぞれ8分ぐらいかけて進むという、まさしく空の鉄道。全長4キロという長さは、2009年に年間有料乗車人員206万4,241人でギネス公認記録「Busiest gondola lift(最も乗車しているロープウェイ)」を更新するだけの魅力です。

参考:[世界最長のロープウェーは全長6,293m、どこにあるかというと…|マイナビニュース

山の上を飛び越えるように進むその感覚は、なんだか不思議なゆったり感。実際にはそこそこスピードが出ているのだと思うのですが…。

ちなみに長さ日本一のゴンドラである新潟5.5キロの「ドラゴンドラ」はちょっと違う気がしたので除外しました。

 

外国人も第注目!?

山や街並みに加え、かつて石切場だったという断崖絶壁に向かって登っていくロープウェーというのもあります。

千葉県富津市と鋸南町にまたがる「鋸山ロープウェー」は、最急勾配28度を超え、漁師町が発展した街並みを見下ろし、特別便に乗れれば打ち上げ花火を上から見下ろせるという、他に類を見ないロープウェーです。

「外国人が次に目指す『ディープジャパン』第2位」となった鋸山にあるこのロープウェー、海外から一番注目を集めているロープウェーと言えるかもしれません。

参考:[外国人が次に目指す 「ディープジャパン」15選|NIKKEI STYLE

 

登って降りるだけじゃない。景色を楽しむだけじゃない。他にも「山頂レストラン」「ゴンドラのかっこよさ」「現地のお土産」など、思い出作りになる要素が満載のロープウェー。

オールシーズンで楽しめるレジャーの一つとして、これからも注目です。

 

2013年11月30日公開記事

ヒャ~こわい! 鋸山ロープウェーゴンドラ架替工事

ここは千葉県唯一のロープウェーとして、開業50年を超える鋸山ロープウェー。海が迫っているこの山で、度々悪天候や強風に見まわれながらも多くの観光客や登山客、巡礼の人々を運んできた、空中交通の老舗です。

実はちょうど今から一年くらい前の2012年12月11日、二十数年ぶりにゴンドラの架替工事が行なわれました。

引退する2つのゴンドラは昭和61年製。新幹線の車両などを製造している日本車両製造のものです。なんとも昭和の香りがするデザインではありませんか。今までどれほどの人数の人々を運んできたのでしょうね。

新しいゴンドラはスイスからやってきたおしゃれな2台です。以前のものより角ばっていて窓が広く、視界も良さそうです。

大きな違いは外観だけはないんです。旧ゴンドラは天井で全体を吊り上げていましたが、新車両は4本の柱がゴンドラ内を貫通し底面で吊り上げています。安定感もあるのでしょうね。

工事が始まり、クレーンがエンジン音を響かせます。かなりの高所作業です。一歩間違えば命取り、熟練が必要です。

無線でやりとりしながらワイヤーワーク(玉掛け作業)を進めます。右側には鋸山の石切り場が。すでに滑車がメインロープから外されています。

見上げて驚愕の高さ! 紅葉の美しさがこのアングルを引き立てていました。

勤めを終えたゴンドラは地上に下ります。

「お疲れ様」「よろしくね」なんてね。

さあ、新人の出番ですよ! 黄色いのが「かもめ」、赤いのは「ちどり」。名前も受け継いだようです。

所定の位置に着いたゴンドラは、職人たちの熟練の作業で微調整も行われ、走行試験やスイッチ類の試験を残すのみとなります。

鋸山をバックに朝陽を浴びる新しいゴンドラ。業務に就くための準備が行なわれます。この状態でゴンドラの外に人がいるのもすごいですよね。

新ゴンドラと旧ゴンドラが同時に運転している、とても貴重なシーン。新しいものと入れ違いに古いゴンドラを下ろして付け替えます。新旧の車両がこの同じ場所ですれ違う瞬間は、ひょっとしたら20年以上先かもしれないのです。工事関係者以外で見れたのは私だけ。ちょっと嬉しいです。

11月から12月に掛けて、鋸山は紅葉を楽しめる時期。山頂は寒く足元がゴツゴツしていますからそれなりの装備でお楽しみください。日本でただここだけでしか手にすることのできない硬券(こうけん、硬い厚紙の切符)を握りしめて。

動画提供:MOGIGRAPH

ロープウェーのゴンドラって、こんな風にして架け替えるんですね。とても勉強になりました。次回ご利用の際には、旧ゴンドラのこれまでの働きも思い出してあげてください。

(記事一部修正しました。2014/11/05)

鋸山ロープウェー株式会社

 

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日本の玄関とも言える「成田空港」「羽田空港」から近い、東京湾の東側に位置する房総地方に溢れる魅力をお伝えしています

茂木 健一

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